「節約しているつもりなのに、なぜかお金が貯まらない」「毎月のやりくりが苦しい」。こうした悩みを抱えている人は少なくないと思います。僕も最初は、食費や日々の買い物を切り詰めることばかり考えていました。でも実は、家計を本当に変える近道は、毎日の細かな出費を我慢することよりも、「固定費の見直し」にあります。この記事では、固定費とは何か、なぜ固定費から手をつけるべきなのか、そしてまず削りたい5つの項目について、初心者向けに整理してみます。
固定費とはなにか
固定費とは、毎月だいたい決まった金額が出ていく支出のことです。家賃や住宅ローン、通信費、保険料、サブスクリプションサービスなどがこれにあたります。一方、食費や日用品、レジャー費のように月によって金額が変わる支出は「変動費」と呼びます。
家計簿をつけていなくても、固定費は通帳やクレジットカードの明細を見れば把握しやすい支出です。「毎月、自動的に引かれているお金」と言い換えると分かりやすいかもしれません。意識しないうちに口座から消えていく分、見直しの効果が大きいのに、つい後回しにされやすい部分でもあります。
なぜ固定費から見直すと効果が大きいのか
節約というと、まず食費を切り詰めたり、外食を我慢したりすることをイメージするかもしれません。もちろん変動費の見直しにも意味はあります。ただ、変動費の節約には「毎日我慢し続ける」という大変さがついて回ります。気持ちの負担が大きく、続けるのが難しい節約です。
その点、固定費の見直しは違います。一度プランを変えたり、不要なものを解約したりすれば、その後は何もしなくても毎月の支出が下がり続けます。たとえば月3,000円の固定費を削れたとすると、1年で36,000円、5年で18万円の差になります。「一度の決断が、ずっと効いてくる」のが固定費見直しの最大のメリットです。
しかも、毎日の生活の満足度はほとんど変わりません。むしろ、自動引き落としで気づかず払っていた無駄が減って、心の負担が軽くなる人も多いと思います。家計を立て直したいなら、まず固定費から手をつける。これがいちばん効率のよいやり方です。
見直したい項目1:通信費
真っ先に見直しの対象になりやすいのが通信費です。スマートフォンの月額料金は、契約しているプランによって大きく変わります。大手キャリアのプランをそのまま使い続けている場合、データ容量や通話オプションが自分の使い方に合っていないことが少なくありません。
まずは、自分が毎月どれくらいデータ通信を使っているかを確認してみてください。多くの人は契約しているデータ容量の半分も使っていなかったりします。使い方に合ったプランに変えるだけでも、月々の負担はかなり軽くなる可能性があります。
もうひとつの選択肢として、格安SIM事業者への乗り換えがあります。乗り換えの基本的な手順や注意点は格安SIMへの乗り換えでくわしく書いているので、ハードルが高いと感じている方も一度読んでみると、思ったよりシンプルだと感じられるかもしれません。
家のインターネット回線も同じです。長年そのまま使っているプランは、今と比べると割高になっていることもあります。年に一度くらいは、契約内容を見直す機会を持つとよいと思います。
見直したい項目2:保険
保険料も、見直す価値の大きい固定費です。なんとなく勧められるまま入った保険を、内容をよく分からないまま払い続けている人は多いです。
保険を考えるときの基本は、「公的な保障で足りない部分を、民間の保険で補う」という発想です。日本は健康保険などの公的制度がそれなりに整っているので、医療費の全額を自分でまかなう必要があるわけではありません。それを知らずに手厚すぎる保険に入っていると、毎月の保険料が大きな負担になります。
独身の人と、家族を扶養している人とでは必要な備えが違います。子どもが独立した後と、小さい子どもがいる時期でも違います。ライフステージに合わせて、定期的に保険の中身を確認することが大切です。なお、保険の必要性や具体的な制度は人によって異なります。自分にとっての必要保障を考えるときは、各保険会社や金融庁などの公式情報も参考にしてください。
見直したい項目3:サブスクリプション
動画配信、音楽配信、クラウドストレージ、雑誌読み放題。気づけば、いろんなサブスクリプションサービスに加入していたという経験はありませんか。ひとつひとつの金額は小さくても、合計するとそれなりの額になります。
サブスクの見直しは比較的かんたんです。クレジットカードの明細や、スマホの定期購入の一覧を見て、「ここ3か月で本当に使ったか」を基準に判断してみてください。使っていないなら、思いきって解約する。「いつかまた使うかも」と思っているサービスのほとんどは、解約しても困りません。本当に必要になったら、また入り直せばよいだけです。
無料お試し期間のままうっかり有料に切り替わっているサービスもあるので、この機会にまとめて棚卸ししてみると、思わぬ無駄が見つかるかもしれません。
見直したい項目4:住居費
住居費は固定費のなかでも金額が大きい項目です。だからこそ、見直しの効果も大きくなります。とはいえ、引っ越しは負担も大きいので、すぐに手をつけるのは難しいかもしれません。
賃貸の場合、契約の更新タイミングで家賃交渉ができることがあります。長く住んでいる入居者なら、周辺の相場と比べて家賃の見直しをお願いできるケースもあります。確実にできるとは限りませんが、一度確認してみる価値はあります。
引っ越しを検討できる場面では、「家賃は手取り収入の3割以内」が昔からよく言われる目安です。これも人によって考え方は異なりますが、家賃が高すぎると、ほかの支出や貯蓄がいくら頑張っても追いつきません。住宅ローンを組む人なら、長く払い続ける金額だけに、無理のない範囲かどうかをじっくり考えたいところです。
見直したい項目5:電気・ガス
電気とガスの料金プランも、見直しの余地があることが多い固定費です。電力会社・ガス会社を自由に選べるようになって以降、生活に合わせたプランを選べるようになっています。
料金プランは、「夜に電気を多く使う家庭」「日中に在宅で電気を使う家庭」など、ライフスタイルによって最適なものが変わります。今のプランが自分の生活と合っているかを一度確認してみるとよいです。電気とガスをまとめて契約することで割引になるサービスもあります。
あわせて、家電の使い方を少し見直すだけでも電気代は下がります。古い家電を買い替えると、長い目で見れば電気代が安くなることもあるので、家電のタイミングで検討してみてください。ただし、買い替え費用とのバランスは大切です。あくまで「ずっと使うもの」だからこそ、長期的な視点で考えるとよいと思います。
浮いたお金は「貯める仕組み」へ
固定費の見直しで月々の支出が減ると、その分のお金が手元に残ります。ここで気をつけたいのが、「浮いたお金がいつのまにか別の支出に消えてしまう」現象です。せっかく見直したのに、生活水準だけ少し上がって貯金は増えなかった、というのはよくある話です。
そうならないために、削れた分はすぐに「貯める仕組み」に流すのがおすすめです。給与が入ったらまず貯金分を別口座に移してしまう、いわゆる先取り貯金の考え方は、先取り貯金のやり方でくわしく書いています。固定費見直しとセットでやると、家計改善の効果がぐっと出やすくなります。
また、家計全体の流れを「ざっくりとでもいいから把握する」ことも大切です。完璧な家計簿でなくてかまいません。続けやすい仕組みについては、家計簿が続かない人のための『ゆる家計管理』も参考にしてみてください。
まとめ
家計を変えたいと思ったとき、まず手をつけたいのは食費の我慢ではなく、固定費の見直しです。通信費、保険、サブスク、住居費、電気・ガス。この5つを一度しっかり見直すだけで、毎月の支出は無理なく下げられる可能性があります。一度の決断が、その後ずっと家計を助けてくれるのが固定費見直しの強みです。なお、契約の詳細や制度は変わることもあるので、実際に見直すときは各社の公式情報を必ず確認してください。僕も最初は通信費から始めました。小さな一歩でかまいません。できるところから少しずつ、家計の体質を変えていきましょう。
